NFCフォーラム、2028年までの技術ロードマップを発表

2023年6月21日、米国マサチューセッツ州ウェイクフィールド発
NFC技術の標準化団体であるNFCフォーラムは、2028年までの技術ロードマップを発表しました。このロードマップは、今後2~5年の間にNFC技術がどのように進化し、どのような製品や市場の機会が生まれるのかを示すものです。
この技術ロードマップは、Apple、Google、Huawei、Identiv、Infineon、NXP、Qualcomm、Sony、STMicroelectronicsなどの理事会メンバー企業を含む約400社のフォーラム会員によって共同で策定されました。
5つの主要技術革新の優先事項
- NFCワイヤレス充電の出力向上
現在、NFCのワイヤレス充電は最大1ワットの出力に対応していますが、今後3ワットまでの対応を目指します。これにより、より小型のデバイスにもワイヤレス充電が可能となり、新たな市場の創出が期待されます。 - 通信距離の拡大
現在のNFCの通信範囲は約5mmですが、これを4~6倍に拡張することを検討中です。通信距離が伸びることで、非接触決済や認証の利便性が向上し、デバイスの位置合わせがより簡単になります。 - 「マルチアクション・タップ」の導入
1回のタップで複数の処理ができるようにすることで、非接触ユーザー体験を向上させます。例えば、タップするだけでレシートの受け取り、ポイントカードの識別、交通機関の一括チケット管理などが可能になります。 - デバイス間通信の高度化
NFC対応のスマートフォンを**SoftPOS(ソフトウェア型決済端末)**として活用し、店舗や個人でも決済を受け付けられるようにする技術の開発を進めます。 - NFCによる持続可能性データの共有
製品の素材情報やリサイクル方法などをNFCで提供する仕組みを構築し、消費者の環境意識の高まりや規制強化に対応します。これにより、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の促進が期待されます。
NFCフォーラムの取り組み
NFCフォーラムのマイク・マキャモン事務局長は、
「NFC技術の急速な成長は、会員企業の先進的な取り組みと革新への尽力によるものです。私たちの標準規格の進化によって、企業や開発者は新しい魅力的な製品やサービスを生み出すことができます。今後、NFC技術は決済、ブランド体験、デバイスの電源供給、持続可能な製品やサービスの提供において、さらなる進化を遂げるでしょう。」
と述べています。
1年以上前に、NFCフォーラムの理事会は「ロードマップ・タイガーチーム」を設置し、業界の意見を集め、優先事項を整理しました。その結果、ロードマップのドラフトを作成し、フォーラム会員や関連団体と検討を重ねた後、今回の発表に至りました。
ロードマップの各項目は、研究段階・市場要件策定・仕様の草案作成など、さまざまな進捗状況にあります。これらの活動は、NFCフォーラムの委員会・作業グループ・特別研究グループによって進められており、すべての会員が参加可能です。フォーラムは約400社の会員企業や業界団体と協力し、NFC技術の普及と他の業界イニシアチブとの連携を推進していきます。
NFCフォーラムについて
NFCフォーラムは2004年に設立された非営利の業界団体であり、モバイル通信、半導体、家電のリーディングカンパニーで構成されています。NFC技術の発展を目的とし、技術仕様の策定、相互運用性の確保、市場啓発を行っています。
詳しくは公式サイトをご覧ください:
🔗 NFCフォーラム公式サイト
当社ポイント株式会社は、今回の発表の中で「通信距離の拡大」に特に注目しており、2025年現在においても開発を進めています。より広範囲での安定したNFC通信を実現し、様々なシーンでの利便性向上を目指しています。