NFCフォーラム、「NFC Release 15」を発表

通信距離は4倍に拡張、多目的タップ対応でユースケースが拡大
2025年6月16日、NFCフォーラムは次世代仕様「NFC Release 15」を正式発表しました。今回のアップデートでは、NFC通信のオペレーティングボリューム(有効距離)を従来比4倍(最大20mm)に拡大し、より高精度かつ安定した接触レス通信を実現。加えて、1回のタップで複数の処理を同時に行えるマルチパーパスタップにも対応し、NFC活用の幅が大きく広がります。
■ 主なアップデート内容
✅ 通信距離の拡張(最大4倍)
これまでNFCは、0.5cm前後という非常に限定的な距離での通信が求められ、スマートフォンやカードなどの「正確な位置合わせ」が必要でした。今回の仕様改定により、最大2cmまでの通信が可能となり、装着型デバイス(スマートウォッチ・スマートリング等)や小型IoT機器でも安定した運用が見込まれます。
✅ マルチパーパスタップ機能
NFCリーダーとの1回の接触で、決済・ポイント付与・デジタルレシート・入退室管理・製品情報取得など、複数のサービスを並行処理できる設計が可能になります。今後はリテール、施設管理、観光、スマートシティ領域での応用が期待されます。
✅ Digital Product Passport(DPP)への対応
EUを中心に導入が進むデジタル製品パスポート制度に対応。再生素材比率や流通履歴、修理情報など、製品のライフサイクル情報をNFCタグから直接取得できる仕様となり、サプライチェーン全体のトレーサビリティ確保にも寄与します。
■ 対象業界・企業への影響
業種 | 想定される導入メリット |
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小売・決済 | POSでの認識精度向上、非接触オペレーションの高速化、顧客利便性の向上 |
製造・物流 | 製品トラッキングや出荷時の自動記録対応強化 |
建物・施設管理 | タップ式入退室・施錠・勤怠管理等での導入が現実的に |
サステナブル製品企業 | DPP対応を通じた環境配慮企業としての訴求力アップ |
■ 今後のスケジュール
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2025年6月16日:仕様発表(上位メンバー企業向けに技術仕様書公開)
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2025年秋:一般企業向け認証プログラム(Certification Release 15)開始予定
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2025年7月9日:NFCフォーラム主催ウェビナー開催(仕様詳細解説)
■ まとめ
「NFC Release 15」は、通信距離の改善により利便性が大きく向上しただけでなく、ビジネスシーンでの多目的活用を見据えた進化を遂げた仕様です。今後はスマートフォンやウェアラブル機器だけでなく、業務用端末やデジタル証明、サプライチェーン管理ツールへのNFC導入が加速することが見込まれます。
導入をご検討の際は、自社の活用目的に応じて、ハードウェア対応状況や認証取得のタイミングを見極めることが重要です。
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